imoutoidという夭折の鬼才。全速力で駆け抜けたその生きざまから感じた音楽
ニコニコ動画全盛期と言われた2008年頃だったでしょうか、たまたま時間に余裕があった時期と重なり毎日のように動画を観ているときがあったのですが、その時にとても好きだったアーティストの一人、imoutoidさんの紹介です。
誠に残念ながらimotoidさんは2009年に18歳という若さでお亡くなりになっています(死因は心不全とのことです)。私はとても彼の音楽が好きだったので、いつか自分の言葉で彼の音楽から感じていたものを残したいと思っていました。
個々の楽曲については別途紹介したいと考えておりますが、まずは私がその音楽を聴いて感じていた感想をこの記事で書いております。
ただ私は音楽シーンに関して詳しいわけではないので、音楽性がどうとかは全く語れません。だから音楽に詳しい方が見ると、幼稚な文章に見えるかもしれません笑。とにかく自分が感じたままの事を書いております。また想像で書いている部分も多々ありますのでご容赦くださいませ。ツッコミもお待ちしております。
ちなみにタイトルの夭折(ようせつ)とは、若くしてお亡くなりになる意味です。
imoutoidさんの曲との出会い
私は当時エイフェックスツインやスクエアプッシャーなどのドラムンベースを聞くのが好きだった時期で、youtubeやニコニコ動画でいろんな音楽を聴いていました。割と流しっぱなしで聞いていたのですが、どうしても気になる曲がありまして、詳しく調べてみたらそれが『sakura and the hysterious magic book』(ファミコン宇宙人 名義)でした。
これを初めて聞いたときに、あまりのカッコよさに衝撃を受けました。よくよく調べたらアニメの主題歌をリミックスしたもののようで、飛躍しまっています
ファミコン宇宙人とは彼の別名義のようでして、調べたらファミコン宇宙人=imoutoidとわかり、ニコニコ動画で「えふ☆えふ(FF6 on Lucky Star)」は見たことがあったので、あぁこれを作った人なのかと繋がりました。それからというものimoutoidさんに興味を持つようになりまして、ネットで音源を探しまくりその世界へとハマっていきました。
ちなみにimoutoidさんの楽曲がアニメ系の音楽をモチーフにリミックスされてることが多いのですが、元ネタを知らなくても十分凄さを堪能することが出来ると思います(わたしがそうでしたので)。そういうのは関係なしに背景を知らなく聞いても成立する程、良い音楽に昇華されているように私は思います。
imoutoidさんの音楽から感じていたもの
まず彼の音楽は一音一音が気持ちいいんです。だからなのかわかりませんが中毒性のようなものがあり、その“良い音”を欲して何度も聞きたくなる感覚が当時は特に強くありました。それに加えて1曲に詰め込まれてる音の情報量がおそらく多いんですよね。それもひとつの中毒性の要因かもしれません。
また音楽の作り込みにおいて、1mmのズレも許さない完璧主義のような印象を受けました。それぞれの音が丁寧に鳴る感じがするんです。彼は音作りの技術も高かったようですので、エンジニアとして職人のような緻密さで良い音を求めていたように想像します。
そして何より感じていたのが、なんだか音楽に危うさのようなものを感じることがあるんですよね。チキンレースをする若者がギリギリの感覚を求めるような危うさとでも言うんでしょうか。そこが自分にとって一番の魅力でした。
非常に言葉にしにくいのですが、これは彼の完璧主義から起因する自身のすべてを音楽に捧げるそのピリピリとした気迫のようなものであったり、魂を削って制作している感じが伝わってくるからなんでしょうか、その行間(音間?)から感情を揺さぶられる“何か”が私には感じられました。
だからセンスあふれるキレッキレの音楽なんですけど、なんだか切なく聞こえる瞬間があるんですよね。桜や花火、はたまた甲子園のようなものとでも言うのでしょうか、そこにある儚い美しさのようなものが、彼の全力の音楽からにじみ出ていたように感じられました。もしかしたらそれが“何か”だったのかもしれません。
そのような魅力がベースにありながら、ユーモア心もあるし、実験的な音楽にもチャレンジする。そしてガチの曲ではしっかり聴かせる。やはり天才かと言いたくなるような振り幅の広さで、間欠泉のように溢れ出る才気をしっかりと音楽という形に昇華されていたと思います。自分はその音楽から、みずみずしい若さのエネルギーを頂いていたという感覚がありました。年寄り臭い言い方ですが笑。
きっと音楽をされている方も凄く刺激を受けていたんじゃないでしょうか。imoutoidさんが俺はこんな表現をするぜと、新しい境地を次々に開拓していく様は、まわりの音楽関係の方々にこっちだって負けるかいと火を点けるワクワクするような新しさがあったように想像します。
imoutoidさんは天才と言いましたけど、 彼にしかない独特なワールドがとても広大に広がっていたところから、鬼才という言い方が適当かもしれません。エイフェックスツインが彼の音楽を聴いたらなんて思うのでしょうかね。
imoutoidさんのフォロワーに期待
私は当時ニコニコ動画では、ハチさんとimoutoidさんが特に好きで、ryoさんやkzさんの綺麗な感じも良いのですが、どちらかというと個性際立つお二人に惹かれていました。
だからハチさんこと米津玄師さんの今のご活躍を思うと、悔しくてなりません。imoutoidさんがご存命であったら今私たちにどんな音楽を届けてくれたのでしょうか。エレクトロミュージックシーンを牽引していたのでしょうかね。
音楽エンジニアとしてソフトを開発していたかもしれませんね。いずれにせよ相変わらず実験的なことをやってそうな気がします笑
今は幸いなことにネット環境があるので、imoutoidさんの軌跡に触れやすい環境が整っています。だからどっぷり影響を受ける人がいつか必ず現れると思うんですよね。
imoutoidさんが全力疾走で駆け抜けたであろうその音楽人生に、次の世代のちょっと変わった人(笑)が、また全力でそのバトンを受け継いでくれることを心から期待しております。imoutoidさんが追いかけた音楽の続きが聴きたいのです。
そう願いましてimoutoidさんのご冥福を改めてお祈り申し上げます。
本記事を書くにあたり、なにか最新情報があるかなと思い検索をしていたら、本当にたまたまなんですが音楽ナタリーで凄く良い記事が紹介されておりました。こちらと違い断違いに本格的な記事です。
18歳の若さでこの世を去った天才アーティスト、imoutoidが遺したもの
https://natalie.mu/music/column/328974
imoutoidさんご本人のサイト(お父様が不定期に更新されております)
http://blog.livedoor.jp/imoutoid/
私の好きだった音楽をまとめております。
△ドンタコス